(前回までのあらすじ)
地図通り進んでも目当てのホテルをみつけられず、あちらこちらと探し廻っているうちに、気付くと僕は首都高を走っていた。
どんどんホテル近辺から遠ざかる事態に「早く戻らなければ」という強すぎる思いが、もしかすると僕を高速へ向かわせたのかもしれない。車はすこぶる快調に戻っている。だが、こうも快調だと家まで戻ってしまう事も考えられる。スタッフから電話がくる。
「今、どちらですか?」「首都高です」「はい。じゃお待ちしてます。」
冷静だ。
理由も言えなかった。
それならと、僕も冷静に次の降り口で降りた。芝公園とある。なんと地図に書いてある最寄りの高速の降り口は、芝公園。まだ運はあるようだ。ここから近い。今度こそみつかるはずだが、どうしてもパークタワーホテルはみつからない。時間は30分が過ぎている。腹が立ってきた。この地図はいったい何だ!ホテルがこんなデタラメな地図を出していいのか?!
気付くと新橋にいた。新橋にはまったく用事がないので戻る。40分が過ぎた。
芝に戻ると、どうやら、それらしいビルをみつけた。間違いなくコレだ。コレだよな?いや違うか?いやコレだろ!違うかも。。いやコレだ!違うのか?
通りすぎた。
また新橋だ。新橋にはやっぱり用事がないので戻る。ついに50分を超えた。僕は、もう一度、バカ地図を見てみる。バカだが、もう一度だけチャンスを与えたのだ。「あ。。」全身に電気のような衝撃が走った。なんと、僕は、地図を縦ではなく横に見ていた。縦を横に見るということは、横にあるモノが前や後ろにあるということだから、一生みつからないということになる。
猫も「お手」をするのだ、と発見した以来の大発見だ。大発見をした僕は、
すぐ着いた。
僕が方向音痴と思う方もおいでだろうが、決してそうではない。
その証拠に、かぶく者は方向性が決まっているから、人気急上昇中なのだ。
たぶん。。
2008年02月29日
2008年02月19日
かぶく者人気急上昇。
文明は、本来、人間が備え得るはずの能力を鈍らせる。
例えば、携帯時代になって、電話番号をさっぱり暗記出来なくなったという諸兄も多いはずだ。そういう点から車のナビは、地図の見方さえ忘れさせる、憂いしき文明の産物だ。
それは僕が、とあるパーティーに出席する為、芝のプリンスホテルに向かった時の事だ。
何度か訪れた事のあるホテルで場所を承知している僕は、ナビを使わずに車を出した。行き先は旧プリンスホテルに隣接するパークタワーという新しいホテルだ。一応、招待状に同封された地図を見てみると、そのホテルは旧プリンスに道を一本隔てた所にある。地図を見るまでもなく、行けば自然にたどり着くであろう場所だ。自宅を出たのは、6時半の開場にとても間に合いそうにない時間だったが、運良く道がすいていて、6時25分にスタッフから「今、どちらですか?」と電話をもらった時には「すぐそばだよーん。」などと浮かれて言える場所を走っていた。「じゃ、入り口でお待ちしてます」「オッケーマウス!」
ノーリアクションで電話を切られた。
地図では、プリンスホテルを後ろにして、前にパークタワーがある。高いビルがあった。入ろうとすると何故か違っていた。間違ったようだ。あわてて、すぐそばにある、高いビルに向かう。ここのはずだ。だがホテルにしては入り口がわかりづらい。ぐるぐる回って入り口を探してるうちに、大通りに出てしまった。まずい。Uターンだ。時間はすでに15分が過ぎている。「オッケーマウス」はやめておけばよかった。
ところが、どこまで行っても、Uターンを出来る場所がない。どんどんホテルから遠ざかって行く。プチパニックに陥った。かなり走ってようやく、Uターン出来る場所にたどり着く。20分が過ぎている。「よし!戻れる。」
ハンドルをきる。ぐるっと回ってアクセルを吹かす。車はスーッと坂道を上がる。ETCをくぐるとそこは、首都高だった。
(つづく)
例えば、携帯時代になって、電話番号をさっぱり暗記出来なくなったという諸兄も多いはずだ。そういう点から車のナビは、地図の見方さえ忘れさせる、憂いしき文明の産物だ。
それは僕が、とあるパーティーに出席する為、芝のプリンスホテルに向かった時の事だ。
何度か訪れた事のあるホテルで場所を承知している僕は、ナビを使わずに車を出した。行き先は旧プリンスホテルに隣接するパークタワーという新しいホテルだ。一応、招待状に同封された地図を見てみると、そのホテルは旧プリンスに道を一本隔てた所にある。地図を見るまでもなく、行けば自然にたどり着くであろう場所だ。自宅を出たのは、6時半の開場にとても間に合いそうにない時間だったが、運良く道がすいていて、6時25分にスタッフから「今、どちらですか?」と電話をもらった時には「すぐそばだよーん。」などと浮かれて言える場所を走っていた。「じゃ、入り口でお待ちしてます」「オッケーマウス!」
ノーリアクションで電話を切られた。
地図では、プリンスホテルを後ろにして、前にパークタワーがある。高いビルがあった。入ろうとすると何故か違っていた。間違ったようだ。あわてて、すぐそばにある、高いビルに向かう。ここのはずだ。だがホテルにしては入り口がわかりづらい。ぐるぐる回って入り口を探してるうちに、大通りに出てしまった。まずい。Uターンだ。時間はすでに15分が過ぎている。「オッケーマウス」はやめておけばよかった。
ところが、どこまで行っても、Uターンを出来る場所がない。どんどんホテルから遠ざかって行く。プチパニックに陥った。かなり走ってようやく、Uターン出来る場所にたどり着く。20分が過ぎている。「よし!戻れる。」
ハンドルをきる。ぐるっと回ってアクセルを吹かす。車はスーッと坂道を上がる。ETCをくぐるとそこは、首都高だった。
(つづく)
2008年02月05日
no-title
僕には笑いの神がついている。
8年間で、3台も四駆を乗り継ぎ、毎冬、雪対策万全の僕を尻目に、ろくすっぽ降らなかった雪が、乗用車に変えた途端に降った。
素晴らしい。
稽古場に向かう朝は、荷物を抱えてツルツル滑っているところを、通る四駆にバシャバシャ雪をかけられながら駅まで歩いて電車で行った。
そういえば昔、僕がまだ23、4才の頃の大雪の朝、バス停でバスを待っている時に、何の前触れもなく突然、まさにスッテンコロリンと絵に書いたような転び方をした事がある。通常、こういった場合、周りの他人は「大丈夫ですか?」などと声をかけるか、あるいは、見て見ぬふりをするものだが、そこにいた女の子はびっくりする程、思い切り「ガハハ」と笑った。
たぶん、その、まるで一瞬宙に浮いたような、スッテンコロリン具合と、僕の気合いの入った白いロングコートとのミスマッチが我慢出来ない程、面白かったに違いないのだが、多感な年頃の僕は死ぬほど恥ずかしい思いをした。だが今、思えば、これも笑いの神だった。何故なら、5、6人は同じ場所で並んでいたにもかかわらず、転んだのは僕だけだからだ。
素晴らしい。
選ばれている。
問題は、別に「お笑い」でもない僕に、笑いの神が必要なのかどうかだ。
8年間で、3台も四駆を乗り継ぎ、毎冬、雪対策万全の僕を尻目に、ろくすっぽ降らなかった雪が、乗用車に変えた途端に降った。
素晴らしい。
稽古場に向かう朝は、荷物を抱えてツルツル滑っているところを、通る四駆にバシャバシャ雪をかけられながら駅まで歩いて電車で行った。
そういえば昔、僕がまだ23、4才の頃の大雪の朝、バス停でバスを待っている時に、何の前触れもなく突然、まさにスッテンコロリンと絵に書いたような転び方をした事がある。通常、こういった場合、周りの他人は「大丈夫ですか?」などと声をかけるか、あるいは、見て見ぬふりをするものだが、そこにいた女の子はびっくりする程、思い切り「ガハハ」と笑った。
たぶん、その、まるで一瞬宙に浮いたような、スッテンコロリン具合と、僕の気合いの入った白いロングコートとのミスマッチが我慢出来ない程、面白かったに違いないのだが、多感な年頃の僕は死ぬほど恥ずかしい思いをした。だが今、思えば、これも笑いの神だった。何故なら、5、6人は同じ場所で並んでいたにもかかわらず、転んだのは僕だけだからだ。
素晴らしい。
選ばれている。
問題は、別に「お笑い」でもない僕に、笑いの神が必要なのかどうかだ。